月々の返済が厳しくなると、債務整理をすべきかを検討することになります。
債務整理といってもその方法は複数あり、もっとも簡易にできるのが任意整理です。
任意整理のメリットとデメリットについて説明します。
メリット
金融機関からの督促が止みます。
弁護士か介入通知を出すことにより、金融業者は債務者に対して督促(支払を求めること)をすることができなくなります。
金融機関からの督促による精神的なプレッシャーから解放される、これが一番のメリットだと思います。
また、任意整理は弁護士や司法書士が依頼者に代わって金融業者と交渉しますので、交渉ごとが苦手でも問題ありませんし、詳しい知識も必要ありません。
弁護士の介入後は利息が付きません。
消費者金融からの借入は18%近い金利がつきますので、利息だけでもバカになりません。債務の総額により異なりますが、返済総額でみると例えば300万円を3年36回での分割支払いとした場合、返済総額でおおよそ90万円も任意整理をした方が少なくなります。
3年程度(最大5年)での分割返済になりますので、月々の返済額が減ります。
弁護士の介入時の債務総額を36分割、48分割します。利息を支払う必要がなくなる分、一般的に毎月の支払額も少なくなります。
特定の業者のみの整理も可能です。
特定の業者とだけ任意整理をすることができます。
たとえば友人からの借入はそのままで消費者金融からの借入だけ整理したり、保証人付きの借入はそのままにして、他の債務のみを任意整理の対象とすることも可能です。
他人に知られるおそれがまずありません。
任意整理は弁護士と各金融業者との直接交渉のみで手続きが進みます。
そのため、他人に知られる可能性がほとんどありません。
職業制限がありません。
自己破産などで規定される職業制限がなく、仕事を継続することが可能です。もちろん、会社に通知が行くと言ったこともありませんし、任意整理のために会社から書類を発行してもらうといったこともありませんので、会社にバレることはありません。
デメリット
借金の元本は減りません。
弁護士の介入時の債務の総額を分割して返すものですので、債務が圧縮されると言うことはありません。
自己破産では債務がゼロになりますし、個人再生では20%程度まで圧縮されますが、任意再生はそのような効果はありません。
なお、仮に任意再生後、月々の返済ができなくなった場合は自己破産か、個人再生の手続きをとることになります。
ブラックリストと呼ばれる信用情報に記録がされます。
自己の信用情報に債務整理が記載されます(いわゆる「ブラックリスト」に乗った状態となります)。この場合、任意整理完済後、最長5年間は記録が残ります。
そのため、3年36回での返済の場合、最長8年間は新たな借入ができなくなり、またローンが組めないなどの不自由があります。
保証人に請求が行くことがあります。
任意整理手続きの場合、返済が一時ストップするため保証人に請求が行きます。
また、金融機関によっては、保証人も共に任意整理手続きを行うことを求める場合があります。債務者が計画通り支払をすれば保証人が肩代わりすることはありませんが、保証人も任意整理をするとブラックリスト(金融機関の信用情報に傷がつく)になってしまうため、かなりの迷惑をかけることになります。
弁護士費用がかかります
依頼する弁護士や司法書士によって異なりますが、3~4社程度の借金を全て任意整理する場合、~10万円程度の費用がかかります。
金融機関では債務者本人から任意整理の申し入れがあっても、応じてはいません。弁護士(又は司法書士)からの申し入れがあって初めて任意整理の交渉に応じます。したがいまして、弁護士費用を負担しないで任意整理を行うことはできません。
もっとも、弁護士の介入により月々の返済が一次ストップしますので、月々の返済に宛てていた分を弁護士費用に回すなどして弁護士費用を賄うことが一般的かと思います。
なお、任意整理は文字どおり「任意」のものなので、金融機関は任意整理を拒否することも可能ですので、弁護士が間に入っても整理できない可能性はあります。
最近は、任意整理に応じない金融業者もあるようです。